オレンジの木の下で

反対や批判し合うのではなく、
協調するようには
なれないのでしょうか?

平和を創り出すということ
積極的平和

1941年から、3度の戦争を引き起こしたペルー・エクアドル紛争に解決提案を行うなど、これまで100以上の国家間、宗教間紛争を調停した経験を持つ、平和学者ヨハン・ガルトゥング。

 

彼の理論は、国家対国家の紛争解決だけではなく、個人と個人が仲良くすることにも通じるものがあります。もっと身近なものとして知ってほしい、という想いからアニメ制作に取り掛かり始めました。

 


”平和”と聞くと、多くの方がイメージされるのは、”戦争がない状態”ではないでしょうか。しかし”戦争がなければ平和”だとは限りません。それでは何がなければ”平和”なのでしょうか。ガルトゥングは”暴力”がなければ平和だと考えました。

そして、あらゆる暴力がない状態を「消極的平和」(Negative Peace)としました。

 

しかし、暴力がないからといって平和だとは限らないのでは・・・?あなたにとって「平和」とは、友だちと遊ぶことかもしれませんし、寝ることかもしれません。お腹いっぱい食べること、安心して働ける場があることかもしれません。

ガルトゥングは、協力や平等、対話や平和の文化が”ある”状態を「積極的平和」(Positive Peace)としました。

 

あらゆる暴力をなくし(消極的平和)、積極的平和を目指して私たちは何を創り出せるでしょうか。

[参考:ガルトゥングの消極的平和、積極的平和の定義の変遷]

ガルトゥングは、1969年に、平和の対義語を”戦争”ではなく”暴力”とし、戦争などを「直接的暴力」、差別や貧困などが「構造的暴力」であり、戦争がない状態を「消極的平和」、構造的暴力がない状態を「積極的平和」としました。

その後、「直接的暴力」「構造的暴力」の2つの暴力を支える「文化的暴力」という概念を提示しました。

2003年、ガルトゥングは積極的平和の定義を深化させます。積極的平和は、構造的暴力が”ない”状態としているが、それは消極的平和と言えるのでは、という指摘を受け、積極的平和の定義を「協力や平等、対話や平和の文化が”ある”状態」と捉えることにしたのです。

消極的平和(Negative Peace):下記の3つの暴力がないこと

  • 直接的暴力(Direct Violence)
  • 構造的暴力(Structural Violence)
  • 文化的暴力(Cultural Violence)

 

積極的平和(Positive Peace):下記の3つの平和があること

  • 直接的平和(Direct Peace)
  • 構造的平和(Structural Peace)
  • 文化的平和(Cultural Peace)

 

[消極的平和、積極的平和の定義の変遷]

消極的平和

[旧概念]直接的暴力の不在

[新概念]あらゆる暴力(直接的暴力、構造的暴力、文化的暴力)の不在

 

積極的平和

[旧概念]構造的暴力の不在

[新概念]あらゆる平和(直接的平和、構造的平和、文化的平和)の構築

オレンジの木の下で
消極的平和・積極的平和(9分)

戦争や暴力をなくすだけでなく
平和を創る
ガルトゥング平和学の
基本概念をカバーした、
おすすめの入門編

小さな川をはさんだガルン国とオラン国。川の水をめぐって、2国間は不仲になり、お互いを悪くいい合うばかりに。反対や批判し合うのではなく、協調するようにはなれないのでしょうか?他の作品で個別にでてくる、平和学の基本的な考え方を広くカバー。2003年に深化した概念理解にも活用できる、平和学に関心のある方にイチオシの教材です。

※解説と授業・ワークショップ案PDF付き

ダウンロード版
価格 1,980円(税込)


どうすれば、平和な社会になるのでしょうか。すべての暴力をなくすこと(=消極的平和)だけではなく、何かが「ある」状態(=積極的平和)も必要です。このアニメでは、戦争になる過程を描きつつ、消極的平和、積極的平和について伝えます。

作品から学べること

  • ガルトゥング平和理論の「消極的平和」「積極的平和」の概念について学べます。
  • 2003年に深化した「積極的平和」の定義を確認したい研究者の方にもおすすめです。
  • アニメを使った授業案、ワークショップ案もついています。(平和学会・平和教育プロジェクト委員会考案)

あらすじ

オラン国とガルン国は、小さな川を挟んで隣同士。互いに温暖な気候を生かしてオレンジを栽培しながら、平和に暮らしている。日照り不足が続く中、オレンジ栽培に必要な川の水を、上流に住むガルン人がせき止めてしまいオラン人は激怒する。

 ガルン人と争おうと盛り上がる一部のオラン人たち。大きいことはみんなで決めるオラン国、争いたいオラン人たちはあの手この手を使って国中を戦いへと扇動していき、、、

授業・ワークショップ案

どうすれば、平和な社会になるのでしょうか。すべての暴力をなくすこと(=消極的平和)だけではなく、何かが「ある」状態(=積極的平和)も必要です。このアニメでは、戦争になる過程を描きつつ、消極的平和、積極的平和について伝えます。

 

授業の目的としては、

  • 「消極的平和」「積極的平和」について理解する
  • 平和を創るために、できることを考える(平和創造の資質を養う)

など様々考えられます。物事の視点を培うことが出来るので、あらゆる分野の授業の導入として使用できます。(「消極的平和」の暴力については、クリスマスのオフィスにてをご覧ください)

 

1.その場で、または事前に

 ①「何がないと平和か」(例えば武器、暴力・・・)

 ②「何があると平和か」(食べ物、住む場所、お金・・・)

 を出してもらう。(クリエイティブに色々な意見を出すよう促す)

*可能であれば、グループになって話して、あとで共有する

 

2.「何がないと平和か」が消極的平和で、消極的平和は「直接的暴力」「構造的暴力」「文化的暴力」がないこと

「何があると平和か」が積極的平和で、積極的平和は「直接的平和」「構造的平和」「文化的平和」であることという説明をする。

 

3.アニメーション視聴

 

4.グループに分かれる

  • グループで、自分たちが考えた「消極的平和」「積極的平和」を、アニメの説明を振り返りながら確認する。
  • グループで、消極的平和(①「何がないと平和か」)を実現し、積極的平和(②「何があると平和か」)を創るためにどうしたらいいかアイデアを出し合う。

欠席者に、宿題に 
リーディング課題

課題の目的 :

まずはガルトゥングが提唱した概念「直接的暴力」「構造的暴力」「文化的暴力」、そして「消極的平和」「積極的平和」の定義を理解しましょう。

 

ダウンロード
オレンジの木の下で
文章を読んで設問に答えてもらう為の資料
リーディング_オレンジの木の下で.pdf
PDFファイル 728.5 KB

設問案

1.リーディング課題(この中に設問が2つあります)

『オレンジの木の下で  ~消極的平和・積極的平和』

2.設問

・リーディング課題や、参考資料をもとに

 「消極的平和」「積極的平和」について説明してください。

参考資料

大阪府人権学習シリーズ「ぶつかる力 ひきあう力 「暴力」はわたしには関係ない?!」から

(「直接的暴力」「構造的暴力」「文化的暴力」の説明も一緒に設問に入れてもいいと思います)

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